日本で決まるコンポジの作り方 ── 宣材・サイズ・費用の正直な話
日本のキャスティングがコンポジ・宣材で実際に見ているもの。スリーサイズはcmで、バストアップと全身は必須、費用の正直な話まで。決まるカードの作り方を整理します。

モデルの仕事で、あなたを最初に見てもらうもの。それがコンポジットと宣材写真です。多くの場合、現場の人間に会うずっと前に、担当者は手元のカードをめくりながら「この案件に合うかどうか」を一、二秒で判断しています。その一瞬のために、カードはつくられます。
外国人タレント、特に海外から来た方ほど、この「日本の作法」を知らないまま自己流のカードを出してしまいがちです。けれど、押さえるべき点はそう多くありません。この記事では、日本のキャスティングが実際に何を見ているか、コンポジ/宣材の決まりごと、そして費用について正直なところを整理します。

まず言葉から ── コンポジと宣材
一枚の営業カードそのものはコンポジット(コンポジ)と呼びます。セットカード、sedカードと呼ぶこともあります。一方、書類選考の段階で使う一枚物のプロフィール写真は宣材写真です。
「コンポジ」と言われたら一枚のカード、「宣材」と言われたら書類用の写真、という使い分けを知っているだけで、現場との会話がスムーズになります。
コンポジは「一枚の営業資料」
コンポジは、いわばあなたの一枚もののセールスシートです。求められる役割は三つ。
- 幅を見せる ── 美しい一枚ではなく、出せる表情やタイプの「振れ幅」。
- 数字を正確に出す ── サイズを、cmで、正直に。
- すぐ連絡がつく ── 名前と事務所の連絡先が、ひと目で読めること。
日本のキャスティングは、多くの候補を短時間でさばきます。読みにくいカード、実寸をぼかしたカードは後回しにされます。聞かれる前に答えが書いてあるカードが、次の連絡につながります。
レイアウトの基本
表面(おもて)は、一番強い全身ポートレートと名前。スクロールの手を止めさせる一枚です。盛りすぎた「別人」ではなく、調子のいい日のあなた本人であること。
裏面(うら)は、三〜五枚のバリエーション。最低限ほしいのは次の三つです。
- はっきりしたバストアップ(顔まわり、きれいな光、過度な作り込みなし)。
- 実際のプロポーションがわかる全身。
- 笑顔と真顔、清潔感のあるコマーシャル系と少し雰囲気のあるもの、といった違う表情。
ここが日本ならではの肝です。日本では、バストアップと全身の「両方」を毎回求められます。 雰囲気やムードだけで成立させようとすると弱い。日本の商業案件はカタログ、EC、フィッティング、コマーシャルが中心で、「顔がちゃんと映るか」と「体つきがどうか」を必ず確認したいからです。雰囲気写真ばかりで正直な全身がないと、判断材料が足りず、見送られます。
いちばん美しいカードが選ばれるのではありません。担当者の疑問にいちばん早く答えるカードが選ばれます。
サイズ表記は必ずcmで
日本では、サイズはすべてcm(センチ)で書きます。
女性なら身長とスリーサイズ(3サイズ=バスト・ウエスト・ヒップ)、それに靴のサイズ。男性なら身長・胸囲・ウエスト・股下、そして靴のサイズ。加えて、瞳の色、髪の色、国籍、事務所の連絡先。
見た目以上に大事なのが、この二点です。
- 正確さ。 日本のクライアントはサンプルサイズで発注します。カードと実寸が食い違えば、貴重な撮影枠を無駄にし、事務所の信用も損ねます。理想ではなく実寸を。正直なサイズのほうが、結局よく決まります。
- 抜けのなさ。 靴のサイズや髪色が空欄だと、フィッティングやEC案件で、その一項目が決め手になる場面を逃します。
用紙サイズと印刷について
世界共通の決まりはありません。実務的な目安はこうです。
- アメリカ標準は 8.5 × 5.5 インチ。
- ヨーロッパ/国際標準はA5(148 × 210 mm)、厚手の用紙(おおむね350〜400 g/㎡)。
- 日本ではA4で刷ることも多く、全身とバストアップを並べ、L判(約12.7 × 8.9 cm)のプリントを使う形がよく見られます。
事務所が作る場合は、売り出し方に合わせて事務所が判型を選びます。自分で作るなら、厚紙のA5は海外でも通用し、A4は日本で手渡ししやすい。迷ったら、登録する事務所に「どの判型がよいか」を先に確認するのが確実です。事務所ごとに違うので、合わせておけば刷り直しを防げます。
枚数より質 ── これは絶対
日本で長く働く外国人モデルの言葉を借りれば、「ムラのある40枚より、完璧な10枚」。
宣材のセットやブックは、撮ったものを全部見せる場所ではありません。castできる明快な数パターンを、最良の状態で見せる場所です。弱い一枚があると、「実際に来るのはどっちの自分?」と思わせ、ブック全体の説得力を下げます。役に立っていない写真は、足を引っ張っている写真です。迷わず外しましょう。
特に日本の商業マーケットはナチュラルを好みます。清潔な肌、濃すぎないメイク、季節外れの日焼けはなし、親しみのある表情。ハイファッションの濃いドラマばかりのブックは、いちばん安定して稼げるカタログ・EC・コマーシャルではかえって使いにくく見えることがあります。「画面の中の、感じのいい等身大の人」になれることを見せてください。
誰が撮り、誰が払うのか
事務所所属なら、カードの制作も写真の選定も、たいてい事務所が行います。 どの写真が売れるかを知っているのは事務所です。これは所属の大きな利点で、自分で当て推量をしなくて済みます。
フリーランスなら自分で用意します。雰囲気だけでなく、清潔なコマーシャル系を撮れるカメラマンを選び、きちんとしたバストアップと全身を押さえ、デザインはシンプルで読みやすく。
費用について、正直に一点。日本の慣習では、宣材写真の費用はモデル本人が負担することがよくあります。これは普通のことで、小さな、内訳の明示された費用です。これは、「所属の条件」と称して高額な「写真代」を迫る詐欺とはまったく別物です。実際の撮影に対する、控えめで透明な費用は業界として普通。一方、たとえば35万円といった高額の前払いを「所属の必須条件」として求めるのは、この業界で最も古い危険信号です。まともな事務所は、実際のブッキングの歩合で稼ぎます。あなたに写真を売って稼ぐのではありません。
OJIでのコンポジ
OJI Entertainmentでは、この手間をこちらで引き受けます。所属いただくと、プロフィールと承認済みの写真から、清潔なコンポジットを自動で生成します。日本のキャスティングが期待する判型と作法に沿い、cm表記で、クライアントが見たがるバストアップと全身を備えた一枚です。あなたはカメラの前でいい状態を見せることに集中してください。あなたを「打席」に立たせる一枚は、こちらが整えます。
提出前のチェックリスト
- 表面に、強い全身ポートレートと名前。
- 裏面に、はっきりしたバストアップと全身。必ず両方。
- 三〜五枚の、いまのあなたのバリエーション。枚数より質。
- サイズはすべてcm、実寸どおり正確に。
- 瞳の色・髪の色・国籍・事務所連絡先まで、抜けなく。
- 濃いエディトリアルより、ナチュラルでcastしやすい方向に。
- 事務所が実際に使う判型(厚紙のA5かA4)。
聞かれる前に答えが書いてあるカード。それが、あなたを現場に呼ぶカードです。


